微分方程式メモその1です。
1. 代数方程式と関数方程式
例えば、 という式があり、 について解けと言われれば を計算して という解を得られます。解きたい文字だけに注目して、その文字だけになるように計算していけば良いです。これを代数方程式といい、値(文字)が求まります。
さて、 について解けと言われた場合は、まずは左辺を見ます。微分の形式になっているので式全体としては「 という関数を で微分したものが 3x になる」という意味になります。この計算は値を求めるのではなく、「微分したら になるような関数」を求めることになるので関数方程式といいます。
2. 微分表記の話
微分表記には色々ありますが、例えばある関数 を微分したとすると または または と表せます。とくに を微分演算子といい、です。どれを使ってもいいのですが、例えば「何で微分するかを明確にしたい」場合は2番目、「テイラー展開やマクローリン展開」のような何度も書く必要があるものを簡単に表記したい場合は1番目と使い分けます。ちなみに3番目は微分方程式で使うと楽できます。
微分演算子は1階微分は , 2階微分は , 3階微分は となります。よって、階微分の場合は です。
例えば、 を微分演算子で表す場合、 となります。つまり、関数を一時的に「1つの文字」としてみなすことができます。(実体は演算子なので単体では意味を持ちません。)
3. 逆演算子
上の式の は と が積になっている(とみなせる)ので、 (関数)について解きたい場合、は両辺を で割ればいいことになります。「割る」というのは「逆数」を掛けることなので、微分の逆演算、つまり「積分」すればいいことになります。つまり、
という意味です。
4. 微分方程式を解く
上のルールを適用すれば、
と求めることができます。解は となっていますが、これは値ではなく関数です。なので、解を に放りこむと
となるので微分方程式の解は であることが確かめられました。ちなみに任意定数は何でもいいので 0 としました。
5. 微分演算子を使わない方法
となります。 を両辺に掛けると右辺は と の積、つまり「微小な区間を掛ける」ことになります。式全体を見ると、「 は微小区間 だけ変化させると微小区間 だけ変化する」という意味です。微小区間を連続につなげて1つの関数としての変化を見たいので、 で積分します。積分すると微小ではなくなるので は必要ありません。
これで解を得られました。どちらの方法を使っても同じ解になるので、解きやすいほうで良いと思います。
6. 右辺の項が増えても同じ
右辺にもう一つ項を足してみます。
右辺が増えても同じですね。任意定数を 0 にして微分すれば になります。検算は同様に代入して計算すれば良いです。
右辺を三角関数にしてみます。第二項は合成関数なので置換積分が必要ですね。
置換積分: に が合成されているので、 を置換します。すると、微分したときに 2 が残ってしまうので逆数を掛けて打ち消します。 同士が約分出来て、微小区間 で積分できるようになります。
これを利用すれば上のような式になります。
参考文献
記号法ですぐに解ける微分方程式