【確率統計メモ】宝くじは買い続けると損する?

ヤフーでこんな記事を見つけました。

news.yahoo.co.jp

(リンク先が切れたときのために) f:id:takunology:20200711170322p:plain

若者が宝くじを買ってくれないそうです。

サイコロの場合

例えばサイコロを振って「4」の目が出た場合、次に出る目は?と聞かれても確率は \frac{1}{6} なので、当たったとしても偶然です。確率が偏っていれば予測できるかもしれませんが、同様に確からしい場合は確率は均等で、次の数字を確実に当てるのは不可能です。仮に偏っている場合は「偏る原因」があるので、それを分析する価値はあります。

宝くじの当せん金率

宝くじも同様です。宝くじで一番当てやすいと言われる「ナンバーズ3」 を例に考えてみます。ナンバーズ3 は 0 ~ 9 までの数字を3桁選び、その組み合わせ(あるいは順番通り)に抽選されれば、見事当選となります。で、その中でも「ミニ」という買い方があり、2桁の数字の順番通りに抽選されれば当選というのもあります。この場合、組み合わせは 10通りを2桁なので、100通りになります。その中で当選すればいいので \frac{1}{100} です。確率は 1% です。かなり厳しい当選確率ですが、現状最も当たりやすい買い方です。

「でも、全部買えばいくらか戻ってくるじゃん?」という人のために計算してみました。(2020年7月10日以前の過去31回のナンバーズ3ミニの当選金額をもとに、計算しています。)

  1. 平均当選金額 : 9173円
  2. 中央値 : 8900円
  3. 標準偏差 : 2025円
  4. 当せん金率 : 45.9 %

ちなみにナンバーズ3は1口200円で販売されているので、当たれば平均 9173 円戻ってきます。みずほ銀行が公開している理論値は 9000円 なので、まぁ妥当と言えば妥当です。中央値もそんな感じですね。ソース貼っておきます。

www.mizuhobank.co.jp

中央値を算出した理由は、最高当選金額が 12800円 で最低当選金額が 3300 円だったためです。だいぶ偏りがありました。

全て買うと1口200円  \times 100通りなので2万円です。平均当選金額で割ると、だいたい 45.9% 戻ってくる計算になります。標準偏差は平均当選金額から離れた値です。だいたい 2025円前後で収まるようです。当選金率は総務省の資料がありました。ほぼ一致しています。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000084191.pdf

ちなみに、標準化した(平均 = 0, 標準偏差 = 1)場合はこんな感じです。

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過去31回分なのでなんとも言えませんが、マイナスに偏りがある(平均より小さい)のが気になるところですね。

頻出数字の話

「頻出数字に絞って当てればいいじゃん」という人のために計算してみました。(2020年7月10日まで5475回分のデータ)

こちらが当選数字です。

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こちらが乱数関数(RANDBETWEEN)を用いて5476回数分繰り返した場合です。

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どうですかね?0が出やすいようですが...。0が出やすいといっても 18% の確率で出るので微妙ですね。(せめて50%なら2択に絞れるのですが...)

Excelで乱数をぶん回しても同じような確率になるので、予測はかなり厳しいと思います。

結論

私としての結論は「買い続けるほど損する」です。「宝くじは夢を買う」なんて言いますがその通りだと思います。嗜む程度ならいいかなと思いますが、進んで買おうとは思えませんでした。当せん金率が半分もいかないのはちょっと...ね...。

宝くじのからくりを知ってしまうと、買わない傾向にあるのも納得です。

参考文献

統計学入門

統計学の図鑑