1. 山辺の方法
微分方程式の一般解は斉次解+特殊解の組み合わせです。斉次解は右辺が 0 になるための関数、特殊解は右辺が 0 以外になるため関数の解です。
例えば次のような微分方程式を解きます。
因数分解によって得られる関数の解 と は斉次解です。残るは右辺の による特殊解です。特殊解は前回やった通りに解けます。
部分分数分解を使って次数を下げてもいいのですが、この手法はちょっと面倒なので一気に計算できる「山辺の方法」を使います。 を で割ればいいのですが、微分演算子があるので普通の割り算とは違います。
割り算する際に、項を微分の階数が小さい順に並べ替えます。
あとはこれを計算します。
よって、微分方程式の解は
となります。山辺の方法を使えば多項式の微分方程式も解くことができます。
特殊解は よって、
となります。
2. 右辺が指数関数の場合
右辺が になっている場合、微分演算子 に を代入して計算することで求めることができます。ちなみに山辺の方法で計算していくと、微分していくたびに指数関数は残り続けるので解けません。
特殊解は なので に 1 を代入すると
よって、
3. 右辺が三角関数の場合
右辺が三角関数の場合も山辺の方法は使えません。計算していくと分かりますが、三角関数を微分演算子で計算して差をとっても、三角関数が残り続けます。よって、特殊解を計算する場合は指数関数のときと同じような手法を用います。ただし、三角関数のままでは指数関数の方法が使えないので、オイラーの公式を使って三角関数を指数関数として扱います。
オイラーの公式は です。少し確認しておきます。
- 右辺が の場合
- 右辺が の場合
これを利用すれば、セクション 2 でやった指数関数の微分方程式と同じ手順で解くことができます。
これで同次解は求まったので、特殊解を求めます。まずは指数関数の肩の係数を に代入します。今回は ですね。
次に、これを有理化します。
分数を分けてみると、実部と虚部に分かれています。これらがオイラーの公式に作用しているので、実部と虚部同士で計算すると、
よって、特殊解は次のように求まります。
これで特殊解が求まりました。あとは 一般解 = 斉次解 + 特殊解 の形にもっていけば良いので、先ほど計算した式に上記の式を代入すれば
と一般解を求めることができます。少し長いですが、指数関数の微分方程式と同じように解けるので覚えることは少ないです。練習問題も載せようと思いましたが、少し長くなってしまったのでここで終わります。