たくのろじぃのメモ部屋

プログラミング関係や数学、物理学などの内容を備忘録として残すブログ。プログラミングはC#を中心に書いています。

【量子力学メモ】シュレディンガー方程式 2

前回は空間依存のシュレディンガー方程式を導出しました。

2. 時間に依存するシュレディンガー方程式

まずは波動関数の式です。

{\displaystyle 
\Psi(x, t) = Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

前回は空間依存のため、 x偏微分しましたが、今回は時間依存を考えたいので  t偏微分します。

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = \frac{\partial }{\partial t} Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

これを計算すると、

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i \omega Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

右辺の  -i \omega にかかっているのは  Ae^{i(kx - i \omega t)} で、波動関数  \Psi(x, t) そのものです。よって、

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i \omega \Psi(x, t)
}

となります。つまり、複素数における角速度  -i\omega を作用させたものが波動関数の時間変化になります。

さて、この式をよく見ると角速度がかかっています。前回同様、光子のエネルギーと運動量を考慮します。

{\displaystyle 
光子のエネルギー : E = \hbar \omega  光子の運動量 : p = \hbar k
}

今回は  \omega が含まれているので、両辺に  \hbar をかけると

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i \hbar \omega \Psi(x, t)
}

となり、 \hbar \omega E が代入できるので、

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = -i E \Psi(x, t)
}

となります。右辺の  -i が邪魔なので、両辺に  i をかけると

{\displaystyle 
i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = E \Psi(x, t)
}

となり、エネルギー  E波動関数  \Psi に作用する式になりました。左辺を見てみると、 i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi に作用しているので、 i \hbar \frac{\partial }{\partial t} はエネルギー演算子となります。(前回のように分数形式にもできますが、分数形式は扱いにくいので省略します。)

なんと、今回はこれだけで時間依存のシュレディンガー方程式を導出できます。エネルギーは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和  E = T + V ですが、 T は既に前回、 - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} と求められたので代入すると

{\displaystyle 
i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} \Psi(x, t) + V(x) \Psi(t, x)
}

となり、波動関数  \Psi(x, t) でくくれば

{\displaystyle 
i \hbar \frac{\partial }{\partial t} \Psi(x, t) = \left[ - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} + V(x) \right] \Psi(x, t)
}

となります。

これで時間に依存するシュレディンガー方程式を求めることができました。

3. ハミルトニアン

さて、シュレディンガー方程式を導出してきましたが、時間に依存するシュレディンガー方程式を見ると、左辺は演算子で右辺はエネルギーが波動関数に作用しているので、両辺を波動関数 \Psi(x, t) で割っても正しい解は得られません。

なぜなら演算子単体では意味を持たないためです。数値あるいは関数に作用させて初めて意味を持つことになります。例えば、 + 単体では何も意味がないですが、 a + b とすれば意味を持つことになり、「 + a b を足し合わせる(の線形和である)」ことを表現します。これと同じように、右辺に対しても何かしらの演算子を定義して、波動関数の値を求められるようにしていきます。

と、行きたいところですが丁寧にやりすぎると大変なので少し省きます。内容としては解析力学です。

blog.takunology.jp

まず、ラグランジアン L は運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの差  L = T - V です。(文字は量子力学に合わせます。)ここで、運動している空間を線形  x軸方向だけと仮定すれば、速さ v は距離  x微分なので  \dot{x} となります。つまり、ラグランジアン

{\displaystyle 
L = \frac{1}{2} m\dot{x}^{2} - V(x)
}

となります。ラグランジアン微分(運動エネルギーを微分)すれば、

{\displaystyle 
\frac{\partial}{\partial \dot{x}} L = \frac{\partial}{\partial \dot{x}} \left( \frac{1}{2} m\dot{x}^{2} - V(x) \right)
}

{\displaystyle 
p_{x} = m\dot{x}
}

となり、運動量となりました。ここで共役運動量を求めると、

{\displaystyle 
\dot{x} = \frac{p_{x}}{m}
}

となります。共役運動量は共役複素数と似たようなものです。運動量の式に共役運動量を代入してみれば  m が約分されて  p_{x} となるのと同じです。本質的な説明にはなっていませんが、ここでは省略します。

ラグランジアンは一般化座標と一般化速度であったのに対し、ハミルトニアンは一般化座標と一般化運動量によって力学を表現することになります。ハミルトニアンの定義は

{\displaystyle 
H = \sum_{i} p_{i} \dot{q_{i}} - L
}

です。 i虚数単位ではないのでご注意を。 p は運動量、 \dot{q_{i}} は一般化座標の時間微分です。今回は座標を x軸のみとっているので、距離 x微分、すなわち速度  \dot{x} と同じです。なので、ラグランジアンを代入すると

{\displaystyle 
H = p_{x} \dot{x} - \left[ \frac{1}{2} m\dot{x}^{2} - V(x) \right]
}

ここで、共役運動量を  \dot{x} に代入すると、

{\displaystyle 
H = p_{x} \frac{p_{x}}{m} - \left[ \frac{1}{2} m \left( \frac{p_{x}}{m} \right)^{2} - V(x) \right]
}

右辺の運動量をまとめ、2乗を展開して  m で約分すると

{\displaystyle 
H = \frac{p_{x}^{2}}{m} - \left[ \frac{p_{x}^2}{2m} - V(x) \right]
}

右辺の括弧を展開すると

{\displaystyle 
H = \frac{p_{x}^{2}}{m} - \frac{p_{x}^2}{2m} + V(x)
}

分母が  m 同士で計算できるので、 \frac{2}{2m} - \frac{1}{2m} と考えれば

{\displaystyle 
H = \frac{p_{x}^{2}}{2m} + V(x)
}

となります。これがハミルトニアンです。

この式、見覚えありませんか?
シュレディンガー方程式の右辺と似たような形をしています。

{\displaystyle 
 \left[ - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} + V(x) \right] \Psi(x, t)
}

そこで、ハミルトニアンにちょっとしたアプローチを行います。運動量が古典力学のままなので、量子力学に変換します。光子の運動量は、 p = \hbar k でしたので、

{\displaystyle 
H = \frac{\hbar^{2} k^{2}}{2m} + V(x)
}

となります。しかし、これでは波数 k が残っており、二階偏微分もないです。ですが、空間依存するシュレディンガー方程式を解くときに、 k^{2} にするために二階偏微分し、そこに運動量と運動エネルギーの関係式を波数  k について解いたものを代入しました。よって、シュレディンガー方程式によって求めた運動量演算子

{\displaystyle 
p = - i \hbar \frac{\partial }{\partial x}
}

を代入して計算すると、

{\displaystyle 
H = \frac{1}{2m} \left( - i \hbar \frac{\partial }{\partial x} \right)^{2} + V(x)
}

となり、計算すると (-i)^{2} でマイナスが残り、2階偏微分になるので

{\displaystyle 
H = - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2}}{\partial x^{2}} + V(x)
}

となります。よって、シュレディンガー方程式の右辺をハミルトニアンで表現することができ、最終的には

{\displaystyle 
E \Psi(x, t) = H \Psi(x, t)
}

という形にまとめることができます。これがハミルトニアンを用いたシュレディンガー方程式です。

【量子力学メモ】シュレディンガー方程式 1

前回は粒子の二重性における波の式、波動関数をもとめました。

1. 空間に依存するシュレディンガー方程式

さて、波動関数はこの形でした。

{\displaystyle 
\Psi(x, t) = Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

この関数は空間と時間の変数を持っているので、どちらか一方が変化したときの変化を調べたいと思います。例えば空間に依存することを考えると、 x偏微分すればいいので、

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = \frac{\partial }{\partial x} Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

となります。振幅 Aは定数なのでしばらく放っておきます。これを計算すると、

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = ik Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

右辺の  ik にかかっているのは  Ae^{i(kx - i \omega t)} で、波動関数  \Psi(x, t) そのものです。よって、

{\displaystyle 
\frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = ik \Psi(x, t)
}

となります。つまり、複素数における波数  ik を作用させたものが波動関数の空間変化になります。

さて、この式をよく見ると波数がかかっています。光子は粒子でもあり、波でもあるのでエネルギー保存則と運動量保存則を考慮する必要があります。ここで思い出すべき式は

{\displaystyle 
光子のエネルギー : E = \hbar \omega  光子の運動量 : p = \hbar k
}

です。で、 ik \hbar をかければ運動量を代入できます。よって、

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = i \hbar k \Psi(x, t)
}

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = ip \Psi(x, t)
}

となります。両辺を  i で割って右辺から消去すると

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = p \Psi(x, t)
}

となり、運動量  p波動関数  \Psi に作用する式になりました。左辺を見てみると、 \frac{\hbar}{i} \frac{\partial }{\partial x} \Psi に作用しているので、 \frac{\hbar}{i} \frac{\partial }{\partial x} は運動量演算子 (※) となります。

さて、この運動量ですがニュートン力学古典力学)では質量と速度の積  p = mv です。また、光電効果による運動エネルギーを考慮すると  T = \frac{1}{2} mv^{2} です。さて、運動量の式を少し変形すると  v = \frac{p}{m} となり、運動エネルギーの  v に代入できます。

{\displaystyle 
T = \frac{1}{2} m \left( \frac{p}{m} \right)^{2}
}

2乗を展開して  m 同士で約分できるので、結果として

{\displaystyle 
T = \frac{p^2}{2m}
}

という式が得られます。量子力学における運動エネルギーの式が出てきました。なので全エネルギーを求めたいときは、この式にポテンシャルエネルギー V (量子力学では  U ではなく  V をつかう) を含めれば、

{\displaystyle 
E = \frac{p^{2}}{2m} + V
}

という式になります。この式の形を覚えておくと、あとであることに気づきます。

さて、運動エネルギーの式も求まったので、あとは先ほど求めた波動関数の空間微分の式に代入するだけですが、このままでは代入できないので変形します。まずは  p を光子の運動量として考えて、 p = \hbar k とします。すると、運動エネルギーは

{\displaystyle 
T = \frac{\hbar^{2} k^{2}}{2m}
}

となります。次に、先の式に合わせるために  k^{2} の式に変形します。

{\displaystyle 
k^{2} = \frac{2mT}{\hbar^{2}}
}

次に、波動関数偏微分して求めた  p \hbar k に戻しておきます。

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = \hbar k \Psi(x, t)
}

すると、  k に代入できそうですが、累乗になっていないと代入できません。これを累乗にするには  x でもう一度偏微分します。すると、波動関数から再び ik が出てくるので、

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = \frac{\partial}{\partial x} \hbar k \Psi(x, t)
}

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = i \hbar k^{2} \Psi(x, t)
}

となります。これで代入ができるようになったので、 k^{2} = \frac{2mT}{\hbar^{2}} を代入します。

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = i \hbar \frac{2mT}{\hbar^{2}} \Psi(x, t)
}

さて、先ほどは運動量と波動関数の積 p\Psi(x, t) によって、運動量演算子を求めることができました。今度は  T があるので、運動エネルギーと波動関数の積  T\Psi(x, t) から運動エネルギーが求まりそうですね。これを求めるために式変形していきます。

右辺を見てみると  \hbar 同士で約分できるので、

{\displaystyle 
\frac{\hbar}{i} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = i \frac{2mT}{\hbar} \Psi(x, t)
}

さらに、 i が邪魔なので両辺に  i をかけて

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = - \frac{2mT}{\hbar} \Psi(x, t)
}

 \hbar も邪魔なので両辺に  \hbar をかけて

{\displaystyle 
\hbar^{2} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = - 2mT \Psi(x, t)
}

あとは  -2m で割れば  T \Psi(x, t) の積になるので、

{\displaystyle 
- \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) = T \Psi(x, t)
}

となり、めでたく運動エネルギーと波動関数の積が求まりました。よって、運動エネルギーは  - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} であることが分かります。

さて、運動エネルギーが求まったので、エネルギー  E が求まりそうです。エネルギーは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和で表現されます。が、今回は波動関数に作用しているので、 E\Psi(x, t) = T\Psi(x, t) + V\Psi(x, t) となるはずです。よって、運動エネルギーの式を代入すれば

{\displaystyle 
E\Psi(x, t) = - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} \Psi(x, t) + V\Psi(x, t)
}

右辺は波動関数でくくれるので、

{\displaystyle 
E\Psi(x, t) = \left( - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{\partial^{2} }{\partial x^{2}} + V \right) \Psi(x, t)
}

となります。

これで空間に依存する(時間に依存しない)シュレディンガー方程式を導出できました。もう少し丁寧に書くと、時間依存しないので t = 0とし、ポテンシャルエネルギーが空間依存するとすれば

{\displaystyle 
E\Psi(x) = \left( - \frac{\hbar^{2}}{2m} \frac{{\rm d}^{2} }{{\rm d} x^{2}} + V(x) \right) \Psi(x)
}

となります。

さて、次は時間依存を考えたいところですが長くなったので次回にまとめます。

補足

※ 一般的な運動量演算子

 i で割らずに両辺にかけて、

{\displaystyle 
\hbar \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = ip \Psi(x, t)
}

{\displaystyle 
i \hbar \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = - p \Psi(x, t)
}

右辺を正にするためにマイナス符号を両辺にかけて

{\displaystyle 
- i \hbar \frac{\partial }{\partial x} \Psi(x, t) = p \Psi(x, t)
}

となり、 - i \hbar \frac{\partial }{\partial x} を運動量演算子とするのが一般的です。確かに虚数が分母にあるよりは扱いやすいです。