たくのろじぃのメモ部屋

プログラミング関係や数学、物理学などの内容を備忘録として残すブログ。プログラミングはC#を中心に書いています。

【量子力学メモ】波動関数

前回は粒子だと思っていた光子が、実は波でもあることがわかりました。故に、波に関する式が必要で、振動し続ける波と減衰する波を表す式を表現しました。

1. オイラーの公式による波の式

前回表現した波の式はこれでした。

{\displaystyle 
波 = {\rm{sin}} \ ax \cdot e^{-bx}
}

または

{\displaystyle 
波 = {\rm{cos}} \ ax \cdot e^{-bx}
}

で、このままでは sin と cos の2つの波が別々になってしまい、計算するのに2度手間なので1つの式にまとめてしまいたいと思います。つまり、オイラーの公式を使えば解決できます。

オイラーの公式マクローリン展開することで...ってやると時間が無くなるので、定義だけ。

{\displaystyle 
e^{ix} = {\rm cos}\ x + i \ {\rm sin}\ x
}

これです。この美しい式。 i虚数です。

虚軸と実軸における関係はこんな感じです。

f:id:takunology:20200624162922p:plain

定数で考えると分かりやすいので、定数を用いて複素共役をとっていきます。複素共役は図の中でいうと実数軸(Re)に対称な点のことなので、 (a + bi)複素共役 (a - bi) です。簡単に言えば虚数部分の符号を変えただけです。原点から点までの距離 r複素共役をとって、

{\displaystyle 
(a + bi)(a - bi) = a^{2} - (-b^{2}) = a^{2} + b^{2}
}

ここでルートをとって三平方の定理のように求めると、

{\displaystyle 
r = \sqrt{a^{2} + b^{2}}
}

となり、波の振幅を表現することができます。

さて、ここから波をオイラーの式で表していきます。まずはオイラーの公式 x に波の式の  ax を代入すると、

{\displaystyle 
e^{iax} = {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax
}

これで「振動し続ける波」を導入できました。次は「減衰する波」を導入するために、両辺に  e^{-bx} を掛けます。

{\displaystyle 
e^{iax} \cdot e^{-bx} = \left ( {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax \right) e^{-bx}
}

すると、左辺 eの指数が  x でくくれます。

{\displaystyle 
e^{x(ia-b)} = \left ( {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax \right) e^{-bx}
}

もう整理できなさそうに見えますが、再び eの指数に注目すると  ia -b の関係になっています。でも虚数が先頭( a)にあると気持ち悪いので、 i でくくってみたいのですが、 -bのほうには  i がないです。しかし、 -b i^{2} b と考えると、くくりだすことができます。

{\displaystyle 
e^{i(a + ib)x} = \left ( {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax \right) e^{-bx}
}

これでオイラーの公式を用いて波を表すことができました。

補足すると、振幅を  A とすれば、波の式は

{\displaystyle 
Ae^{i(a + ib)x} = A \left ( {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax \right) e^{-bx}
}

となります。振幅は先ほど求めた原点からの距離のことです。

あと、「cos と sin が入っているけどいいの?」と思うかもしれませんが、軸の取り方によって片方消えます。例えば  x軸(平行な軸)をとると、sin は0 になります。逆に  y軸(垂直な軸)をとると cos は0 になるので、結局どちらかのみになります。まぁ、斜めに軸をとる人は多分いないと思いますが...。

2. 空間と時間を考慮した波

オイラーの公式を用いることで、波の式を eで表すことができました。

しかし、これでは完全ではないです。波は時間によって振動するので、時間の概念を取り入れる必要があります。ある関数 f(x) x軸上を dだけ移動すると考えると、 f(x - d) となります。平行移動しているので、原点から  x軸方向に  +d されており、原点に戻すには  -d 必要なのでこの形になります。

この内容を踏まえて波について考えます。例えば sin 波の場合は sin (x) ですが、決まった波数  k で変化するので、sin (kx) となります。ここで、波数は  \frac{2\pi}{\lambda} です。

ここに時間による移動を考えると、距離は波の速度と時間の積(距離=速度 \times時間)だけ離れているので  vt となりますが、波数も考慮して  kvt となります。

よって、関数は距離 x と時間 t に依存し、平行移動するとすれば、

{\displaystyle 
f(x, t) = {\rm sin}(kx - kvt)
}

となります。ここで、この式をよく見ると波数 kと速度 vの積で角速度 \omega となります。つまり、

{\displaystyle 
f(x, t) = {\rm sin}(kx - \omega t)
}

となります。 x, t の関数になっているので、波の式は空間と時間に依存することになります。ちなみに cos でも同様です。

3. 空間と時間を考慮した波

さて、オイラーの公式と空間、時間依存を考慮した状態の波が求まったので、依存した関数オイラーの式に代入してみます。ここで、オイラーの公式 ax kxとして、 bx -\omega t として代入すると、

{\displaystyle 
e^{i(ax + ibx)} = \left ( {\rm cos}\ ax + i \ {\rm sin}\ ax \right) e^{-bx}
}

{\displaystyle 
e^{i(kx - i \omega t)} = \left ( {\rm cos}\ (kx) + i \ {\rm sin} \ (kx) \right) e^{- \omega t}
}

となります。右辺はごちゃごちゃして使いにくいので、 e の関数をさらに  \Psi という記号でまとめます。ここで、振幅  A も考慮すると、

{\displaystyle 
\Psi(x, t) = Ae^{i(kx - i \omega t)}
}

となり、簡単な式になりました。一般に  \Psi(x, t) で表現した波の関数を波動関数と言います。

この式は1つで「空間的な広がり」と「時間的な変化」を示しており、この2つの現象が1つになっています。

3.1 空間的な広がり

空間的な広がりを見たいときは、 t = 0 として

{\displaystyle 
\Psi(x, 0) = Ae^{i(kx)}
}

となります。ここでは1次元なので x軸上で振動あるいは減衰する波として  e^{ikx} となります。

ここで、

{\displaystyle 
k が実数 のとき、Ae^{ix}
}

{\displaystyle 
k が虚数のとき、Ae^{-x}
}

より、実数では増減なし、虚数では増減することになります。これが増減における空間的な広がりです。

3.2 時間的な変化

時間的な変化を見たいときは、 x = 0 として

{\displaystyle 
\Psi(0, t) = Ae^{-i \omega t}
}

より、 e^{-i \omega t} が時間軸上で振動する波になります。ここで、角振動数は \omega = 2 \pi \nu なので、波の位相が1秒間に回った角度を示すことになります。

さて、波動関数を求めたことによって光子の姿を捉えることができるようになります。つまり、波動関数は「空間」あるいは「時間」による変化をみる(偏微分する)ことによって、光子(電子)がどこにいるかを探す手がかりになります。

【量子力学メモ】光は波?

前回、光は粒子であることが分かりました。

1. 光は波

プランクの式には、実はまだ続きがありまして、プランク定数に注目してみます。ちなみにプランクの式は

{\displaystyle 
E = n h \nu
}

でした。で、この式の  \nu って振動数なのですが...振動ということは波ですね。さらに、振動数は

{\displaystyle 
\nu = \frac{光の速さ}{波長} = \frac{c}{\lambda}
}

です。光の速さ  c は約秒速30万[km/h] なので、定数です。つまり、波長  \lambda に依存していたわけですが、ちょっと解釈を変えてみましょう。波長はそもそも、波が1回振動したときの距離です。波が1回振動するということは、単位円上で角度  \theta = 0° から  \theta = 360° までぐるっと1周、すなわち弧度法でいう  2\pi 分です。

そこで、この1周する分のプランク定数を使うといろんなことが分かるようになります。 2\pi あたりのプランク定数とは、1波長におけるエネルギーと振動数の関係を数値化したものになり、このような式になります。そして、これで得られる定数をディラック定数 ( \hbar = 1.054 \times 10^{-34} [Js]) と言います。

{\displaystyle 
\hbar = \frac{h}{2\pi}
}

さて、それではこの式を用いて光子のエネルギーおよび運動量をもう一度求めてみます。

1.1 ディラック定数による光子のエネルギー

元の式は

{\displaystyle 
E = h \nu
}

でした。ここに、 \hbar を代入します。このままでは代入できないので、 h について解くと、

{\displaystyle 
h = \hbar (2\pi)
}

です。これを代入すると

{\displaystyle 
E = \hbar (2\pi) \cdot \nu
}

となります。この式、よく見てみると振動数と 2\pi の積になっています。だから何だという話ですが、この積は角振動数 \omega と同じです。よって、上記の式はさらに書き直すことができて、

{\displaystyle 
E = \hbar \omega
}

となります。

あらら?粒子だったはずの光子が波になってしまいました。

1.2 ディラック定数による光子の運動量

次は運動量を考えてみます。運動量の式はこれでした。

{\displaystyle 
p = \frac{h}{\lambda} 
}

同様に、ディラック定数の式を用いて  h に代入してみます。

{\displaystyle 
p = \frac{\hbar (2\pi)}{\lambda} 
}

再びよく見てみると、 \frac{2\pi}{\lambda} は1波長当たりのうねる波の数、すなわち波数 k を意味しています。ということは、更に書きかえられます。

{\displaystyle 
p = \hbar \frac {(2\pi)}{\lambda} = \hbar k
}

となります。これまた不思議です。運動量は波数によって決まる、つまり波です。

ここでも粒子ではなく波です。

結局、光子は粒子なのか、波なのか気になるところです.

ここまでをまとめると、

{\displaystyle 
光子のエネルギー : E = \hbar \omega  光子の運動量 : p = \hbar k
}

となることが分かりました。

2. 粒子と波動の二重性

結局、理論だけでは勝負がつかなかったのでド・ブロイという物理学者が2重スリットを使って実験しました。参考として実験映像を見るといいかもしれません。

www.youtube.com

これが実験結果です。スリットには非常に狭い幅で縦線の穴が開いており、そこを電子が通過してスクリーンに衝突します。その位置を記録することによって、正体をつかむことができます。映像の最初のほうは確かに粒子のように見えます。縦線の穴が開いているスリットを通過したあと、その形でスクリーンに跡が付くはずです。しかし、20分も経過すると中心部分から端のほうへかけて干渉縞のような模様になります。

この実験から粒子と波の2つの性質を持つことになると結論付けられました。これが粒子と波動の二重性です。

3. 波を表す式

粒子と波動の2つの性質を持つので、粒子と波動の考え方が必要になります。

さて、波と言えば三角関数ですね。三角関数には cos と sin があります。

と、その前に波には2種類あります。波数をそれぞれ  a, b とすると
(1) 振動し続ける波 cos  ax , sin  ax
(2) 減少していく波  e^{-bx}
なぜ増加はないかというと、あらゆる物理法則(例えば空気抵抗や摩擦など)によって、外力が加わらない限り振動は減衰していくためです。

上記2つの波を sin 関数および指数関数を用いて表すとこんな感じです。

f:id:takunology:20200623193724p:plain

(3) の波は (1) と (2) を合成した、「減少しながら振動し続ける波(減衰振動)」です。(1) と (2) を合成することで、今まで2つあった式が1つにまとまります。つまり、 sin を用いた場合、

{\displaystyle 
波 = {\rm{sin}} \ ax \cdot e^{-bx}
}

となり、場合分けができるようになります。

{\displaystyle 
b=0 のとき、 {\rm{sin}} \ ax \cdot e^{0} =  {\rm{sin}} \ ax
}

{\displaystyle 
a=0 のとき、 {\rm{sin}} \ 0 x \cdot e^{-bx} = e^{-bx}
}

{\displaystyle 
a \neq 0 かつ b \neq 0 のとき、 {\rm{sin}} \ a x \cdot e^{-bx}
}

これで、波の式を1つにまとめることができました。ただし、注意が必要なのは三角関数には sin と cos があるので実際にはもう1つあります。

さて、ここまでで光子の波動性を解くための波の式を準備できました。